EASY GAME-ダメ男製造機と完璧上司の恋愛イニシアチブ争奪戦ー
数十メートル歩くと、秋成さんは歩みを遅くして、あたしを待ってくれた。
「――すみません、ありがとうございました。でも、秋成さん、会社こっちでしたっけ?」
あたしが尋ねると、彼は、ニッコリと笑う。
「いや、今日は取引先との商談。先方のビルが、あの近くなんだ」
「そうだったんですか」
すると、秋成さんは、声を抑えながらあたしに言った。
「――で、あの男は、大丈夫なの?」
「え?」
「……また、おかしなヤツに、目つけられてない?あれから連絡無いから、舞子が心配して、そわそわしてるんだよ」
あたしは、ギクリとすると、頭を下げた。
「……すみません……。……あの人は、ウチが委託しているイベント企画会社の方で……遅くなったから、送ってくださるって……」
そこに下心があるかは、わからない。
けれど、秋成さんは、バッサリと言い切った。
「ああ、そりゃあ、美里ちゃん、狙われてるね」
「……え」
「どうでも良い女のコ、送るなんて言う訳ないでしょ」
「――……そういうモノですか」
「そういうモノです」
高い位置から見下ろされ、あたしは、その慣れない圧に気まずくなって視線を下げた。
――……やっぱり、そうなのかな……。
秋成さんは、黙り込んだあたしを気遣ってか、何も言わずに歩いてくれた。
だが、数メートル歩いたところで、思い出す。
「――あ、会社に連絡しなきゃ」
そう言えば、朝日さんが待っているって言ってた。
あたしは、慌ててバッグからスマホを取り出し、会社に電話をかける。
総務部直通の番号なので、すぐに朝日さんが出た。
『――はい、総務部、黒川』
耳元で響く低い声に、身体中が反応しそうになり、慌てて口を開く。
「お、お疲れ様です。白山です。今さっき、打ち合わせが終了しました」
『――遅くないか』
「え、いえ、結構、お話が詳しくて――いろいろ伺っていたので」
『……まあ、良い。で、そのまま直帰なんだな』
「ハイ。その予定だと、部長が言われたんでしょう」
『……そう、だが。――……今どこだ?』
急に、抑えた声音になり、あたしの心臓は跳ね上がった。
――やっぱり、朝日さんの声はダメだわ。
『……白山?』
「あ、今、駅に向かっているところで……」
『一人でか』
「あの……秋成さんと、たまたま会いまして……」
『――ああ……確か、親友の彼氏、だったか』
「ハイ。それで、送ってもらう事になりました」
すると、電話の向こう側が沈黙する。
「……部長?」
『――了解した。……じゃあ、オレは上がるからな』
「あ、ハ、ハイ。お疲れ様でした」
あたしは、そう言って通話を終えた。
――……何か、朝日さん、機嫌悪い……?
彼の声音を思い出す。
何か、言いたげにしていて、でも、不満そうで。
「美里ちゃん、ちょうど、次の電車来るよ」
「あ、ハ、ハイ」
あたしは、秋成さんの言葉に、考えを途中で切った。
――いくら考えても、他人の気持ちなんて、わからないんだから。
駅に入ってすぐに電車がやってきて、あたしは、完全にその思いを手放した。
「――すみません、ありがとうございました。でも、秋成さん、会社こっちでしたっけ?」
あたしが尋ねると、彼は、ニッコリと笑う。
「いや、今日は取引先との商談。先方のビルが、あの近くなんだ」
「そうだったんですか」
すると、秋成さんは、声を抑えながらあたしに言った。
「――で、あの男は、大丈夫なの?」
「え?」
「……また、おかしなヤツに、目つけられてない?あれから連絡無いから、舞子が心配して、そわそわしてるんだよ」
あたしは、ギクリとすると、頭を下げた。
「……すみません……。……あの人は、ウチが委託しているイベント企画会社の方で……遅くなったから、送ってくださるって……」
そこに下心があるかは、わからない。
けれど、秋成さんは、バッサリと言い切った。
「ああ、そりゃあ、美里ちゃん、狙われてるね」
「……え」
「どうでも良い女のコ、送るなんて言う訳ないでしょ」
「――……そういうモノですか」
「そういうモノです」
高い位置から見下ろされ、あたしは、その慣れない圧に気まずくなって視線を下げた。
――……やっぱり、そうなのかな……。
秋成さんは、黙り込んだあたしを気遣ってか、何も言わずに歩いてくれた。
だが、数メートル歩いたところで、思い出す。
「――あ、会社に連絡しなきゃ」
そう言えば、朝日さんが待っているって言ってた。
あたしは、慌ててバッグからスマホを取り出し、会社に電話をかける。
総務部直通の番号なので、すぐに朝日さんが出た。
『――はい、総務部、黒川』
耳元で響く低い声に、身体中が反応しそうになり、慌てて口を開く。
「お、お疲れ様です。白山です。今さっき、打ち合わせが終了しました」
『――遅くないか』
「え、いえ、結構、お話が詳しくて――いろいろ伺っていたので」
『……まあ、良い。で、そのまま直帰なんだな』
「ハイ。その予定だと、部長が言われたんでしょう」
『……そう、だが。――……今どこだ?』
急に、抑えた声音になり、あたしの心臓は跳ね上がった。
――やっぱり、朝日さんの声はダメだわ。
『……白山?』
「あ、今、駅に向かっているところで……」
『一人でか』
「あの……秋成さんと、たまたま会いまして……」
『――ああ……確か、親友の彼氏、だったか』
「ハイ。それで、送ってもらう事になりました」
すると、電話の向こう側が沈黙する。
「……部長?」
『――了解した。……じゃあ、オレは上がるからな』
「あ、ハ、ハイ。お疲れ様でした」
あたしは、そう言って通話を終えた。
――……何か、朝日さん、機嫌悪い……?
彼の声音を思い出す。
何か、言いたげにしていて、でも、不満そうで。
「美里ちゃん、ちょうど、次の電車来るよ」
「あ、ハ、ハイ」
あたしは、秋成さんの言葉に、考えを途中で切った。
――いくら考えても、他人の気持ちなんて、わからないんだから。
駅に入ってすぐに電車がやってきて、あたしは、完全にその思いを手放した。