EASY GAME-ダメ男製造機と完璧上司の恋愛イニシアチブ争奪戦ー
「きゃあっ……⁉」
その浮遊感に怯え、思わず朝日さんの首に手を回してしまう。
すると、クッ、と、抑えた笑い声が聞こえた。
「……あ……さ、ひ……さん……?」
「――お仕置きだからな」
「え」
「迎えに行こうと思ったのに、何で、男と一緒に帰ってるんだ」
「だ、だって……偶然……」
「偶然でも、だ」
「横暴!」
そんな不可抗力に、嫉妬なんてしないでよ!
思わず叫ぶと、朝日さんは、眉を寄せる。
「何とでも言え。――お前は、オレの彼女だろう。少しは自覚してくれ」
「……でも……」
秋成さんは、完全に厚意で言ってくれてたんだし、何よりも舞子にベタ惚れの人なのだ。
――それなのに。
「美里」
「――え?」
不満そうに返せば、困ったように微笑む端正な顔が至近距離に見え、心臓が跳ねた。
「……あまり、妬かせるな。……身が持たない」
「……べ、別に……そんなつもりじゃ……」
素直にそんな事を言われたら、怒れないじゃない。
あたしは、朝日さんの首に腕を回すと、自分から深いキスをする。
さっきほどではないが、まあまあ激しく返され、それをすべて受け止める。
「……ごめんなさい」
そう、朝日さんを見上げて謝る。
すると、彼は、息をのみ硬直した後、煽るな、と、苦々しく言ったのだった。
それから、朝日さんの機嫌は直ったのか、既に用意されていた夕飯を準備し始めた。
「あ、あたしもやります」
「いいから。――電車でも遠かっただろう。休んでいろ」
「……で、でも……」
「美里」
渋るあたしに、朝日さんは、優しく微笑む。
「――オレは、家政婦が欲しい訳じゃない」
「……ハイ……」
どうにも慣れなくて、でも、これ以上粘っても、きっと譲ってもらえないだろうと思い、あたしは、自分の部屋に着替えに行った。
そして、トランクに入っていた服を眺めて、頭を悩ませる。
……ヤバイ。
……服、どうしよう……。
既に、目ぼしいものは着てしまい、後は古い部屋着のみ。
仮にも、彼女として、それはどうだろうか……。
ハンガーにかけていたものは、仕事用だし……。
すると、あたしがいつまでも出てこないので、部屋のドアがノックされた。
「美里、どうかしたのか?」
「えっ、あっ、大丈夫、ですっ……!」
仕方ないので、仕事着のままキッチンへ戻った。
部屋着は着られないけど、他に着られそうな服も無い。
付き合い始めたばかりだから、できれば、生活感があふれる服は着たくないんだけれど――……。
朝日さんは、そんなあたしの気持ちにまったく気づくことなく、尋ねてくる。
「……着替えないのか?」
「――……いえ、あの……適当に持ってきちゃったんで……選択肢が無かったというか……」
キョトンとする朝日さんを、あたしは見上げた。
「……だって、着古した部屋着とか……恥ずかしいじゃないですか」
「別に気にならないぞ」
「あたしが、気にするんです」
そう言って、視線を逸らす。
――きっと、言ってもわからないだろう。この朴念仁には。
「着る物で、何かが変わる訳じゃないだろう」
「……だからっ……仮にも彼氏の前で、生活感満載の服を着たくないんですってば!」
あたしが、半ばヤケになって叫ぶと、朝日さんは目を丸くし、そして、うれしそうに微笑んだ。
「……あ、朝日さん……?」
「……いや……”彼氏”、か……」
「……違うんですか?」
感慨深げに言うので、思わず聞き返した。
まさか、ここまできて、そんなつもりは無いとか言わないわよね?
眉を寄せたあたしに、朝日さんは笑う。
「違わない。――ただ、そう言われるのは初めてだから、噛みしめてるだけだ」
「……何ですか、それ……」
妙に気恥ずかしくなり、あたしは、ごまかすように並べてあったお皿をテーブルに持って行く。
「……何か、良いものだな。……こういうのは」
あたしは、感動している彼を見上げ、苦笑いで返した。
その浮遊感に怯え、思わず朝日さんの首に手を回してしまう。
すると、クッ、と、抑えた笑い声が聞こえた。
「……あ……さ、ひ……さん……?」
「――お仕置きだからな」
「え」
「迎えに行こうと思ったのに、何で、男と一緒に帰ってるんだ」
「だ、だって……偶然……」
「偶然でも、だ」
「横暴!」
そんな不可抗力に、嫉妬なんてしないでよ!
思わず叫ぶと、朝日さんは、眉を寄せる。
「何とでも言え。――お前は、オレの彼女だろう。少しは自覚してくれ」
「……でも……」
秋成さんは、完全に厚意で言ってくれてたんだし、何よりも舞子にベタ惚れの人なのだ。
――それなのに。
「美里」
「――え?」
不満そうに返せば、困ったように微笑む端正な顔が至近距離に見え、心臓が跳ねた。
「……あまり、妬かせるな。……身が持たない」
「……べ、別に……そんなつもりじゃ……」
素直にそんな事を言われたら、怒れないじゃない。
あたしは、朝日さんの首に腕を回すと、自分から深いキスをする。
さっきほどではないが、まあまあ激しく返され、それをすべて受け止める。
「……ごめんなさい」
そう、朝日さんを見上げて謝る。
すると、彼は、息をのみ硬直した後、煽るな、と、苦々しく言ったのだった。
それから、朝日さんの機嫌は直ったのか、既に用意されていた夕飯を準備し始めた。
「あ、あたしもやります」
「いいから。――電車でも遠かっただろう。休んでいろ」
「……で、でも……」
「美里」
渋るあたしに、朝日さんは、優しく微笑む。
「――オレは、家政婦が欲しい訳じゃない」
「……ハイ……」
どうにも慣れなくて、でも、これ以上粘っても、きっと譲ってもらえないだろうと思い、あたしは、自分の部屋に着替えに行った。
そして、トランクに入っていた服を眺めて、頭を悩ませる。
……ヤバイ。
……服、どうしよう……。
既に、目ぼしいものは着てしまい、後は古い部屋着のみ。
仮にも、彼女として、それはどうだろうか……。
ハンガーにかけていたものは、仕事用だし……。
すると、あたしがいつまでも出てこないので、部屋のドアがノックされた。
「美里、どうかしたのか?」
「えっ、あっ、大丈夫、ですっ……!」
仕方ないので、仕事着のままキッチンへ戻った。
部屋着は着られないけど、他に着られそうな服も無い。
付き合い始めたばかりだから、できれば、生活感があふれる服は着たくないんだけれど――……。
朝日さんは、そんなあたしの気持ちにまったく気づくことなく、尋ねてくる。
「……着替えないのか?」
「――……いえ、あの……適当に持ってきちゃったんで……選択肢が無かったというか……」
キョトンとする朝日さんを、あたしは見上げた。
「……だって、着古した部屋着とか……恥ずかしいじゃないですか」
「別に気にならないぞ」
「あたしが、気にするんです」
そう言って、視線を逸らす。
――きっと、言ってもわからないだろう。この朴念仁には。
「着る物で、何かが変わる訳じゃないだろう」
「……だからっ……仮にも彼氏の前で、生活感満載の服を着たくないんですってば!」
あたしが、半ばヤケになって叫ぶと、朝日さんは目を丸くし、そして、うれしそうに微笑んだ。
「……あ、朝日さん……?」
「……いや……”彼氏”、か……」
「……違うんですか?」
感慨深げに言うので、思わず聞き返した。
まさか、ここまできて、そんなつもりは無いとか言わないわよね?
眉を寄せたあたしに、朝日さんは笑う。
「違わない。――ただ、そう言われるのは初めてだから、噛みしめてるだけだ」
「……何ですか、それ……」
妙に気恥ずかしくなり、あたしは、ごまかすように並べてあったお皿をテーブルに持って行く。
「……何か、良いものだな。……こういうのは」
あたしは、感動している彼を見上げ、苦笑いで返した。