悪女は今日、初恋を知る。



 こうしてわたしはさくら色のキミの、(こう)くんの悪女になることを条件に家に住まわせてもらうことになり、
 もう2週間以上経つけど、初めての気持ちの名前は未だに分からず、
 今も(こう)くんの家の居間で濡れた髪をドライヤーで乾かしてもらっている。

 洗った髪、(こう)くんのシャンプーの香りがまだ残ってるから、だだでさえ、恥ずかしいのに。

(こう)くん、自分で乾かせるから」

「だめ、俺がきよらを悪女にしたんだし。これくらいさせてよ」 

 (こう)くんはこうやっていつもわたしを甘やかす。
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