悪女は今日、初恋を知る。
*
こうしてわたしはさくら色のキミの、皇くんの悪女になることを条件に家に住まわせてもらうことになり、
もう2週間以上経つけど、初めての気持ちの名前は未だに分からず、
今も皇くんの家の居間で濡れた髪をドライヤーで乾かしてもらっている。
洗った髪、皇くんのシャンプーの香りがまだ残ってるから、だだでさえ、恥ずかしいのに。
「皇くん、自分で乾かせるから」
「だめ、俺がきよらを悪女にしたんだし。これくらいさせてよ」
皇くんはこうやっていつもわたしを甘やかす。