悪女は今日、初恋を知る。
*
「きよら、ドリア美味しい」
その夜。皇くんはキッチンでわたしが作った出来立てのシーフードドリアをスプーンで食べる。
「ほんとう? 無理してない?」
わたしは真向いの椅子に座ったまま皇くんの顔を見つつ不安げに尋ねる。
「うん、俺の両親、飛行機で世界中飛び回ってて」
「お金振り込んでおいたから好きなもの食べな、が普通で」
「今まで俺の為に作ってくれる人いなかったからすごく嬉しい」
「作ってくれてありがとう」
嬉しそうに笑う皇くんを見てわたしもつい嬉しくなる。