悪女は今日、初恋を知る。



「きよら、ドリア美味しい」
 その夜。(こう)くんはキッチンでわたしが作った出来立てのシーフードドリアをスプーンで食べる。

「ほんとう? 無理してない?」
 わたしは真向いの椅子に座ったまま(こう)くんの顔を見つつ不安げに尋ねる。

「うん、俺の両親、飛行機で世界中飛び回ってて」
「お金振り込んでおいたから好きなもの食べな、が普通で」
「今まで俺の為に作ってくれる人いなかったからすごく嬉しい」


「作ってくれてありがとう」


 嬉しそうに笑う(こう)くんを見てわたしもつい嬉しくなる。
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