悪女は今日、初恋を知る。


「いらねぇよ!!」


 わたしが委縮すると(こう)くんは顔を右手で隠す。

「……ごめん、大声出して」
「頭冷やしてから帰るから後は好きにして」

 (こう)くんはそう儚げに言い、一人で歩き出す。


 …………あぁ、
 悪女、終わっちゃった。


 早く帰って、荷物まとめて、
 これから新しく住むところ探さなきゃ。

 そう思うのに、


 (こう)くんがいない明日なんて、もう考えられない。


 わたしは(こう)くんを追いかけ――――、
 後ろからぎゅっと制服の裾を掴む。
< 25 / 32 >

この作品をシェア

pagetop