夜の帝王の一途な愛
だから加々美社長とも仕事以外の関わりは持たないようにしている。
「俺は何も知りません、確かに三年前あゆみさんは初めて来店して頂きましたが、
それを麻生さんが覚えていないことは、そんなに気にしなくていいと思います、
俺だって、全てのお客さんを覚えているわけではないですよ」

俺はヒカルの言うことに納得がいかなかった。

こんなにも気になる女のことを、なぜ覚えていないのか。

でも、あゆみは客の一人。

しかも、元旦那を今でも愛してる。

その健気さにも凌は惹かれ始めていた。

この気持ちも記憶障害が発症すれば、全てリセットされてしまう。

凌はそのこともわからないのである。

また、最近手の震えが頻繁に起こるようになった。

マンションに戻ると、寝る前に必ずと言っていいほど、手の震えが起きる。

手の震えと頭痛にもがき苦しむ生活も、凌の中では当たり前になって行った。

そんな時、凌は店が休みの時、あゆみのアパートへ向かっていた。

偶然にもあゆみも店は定休日だった。

< 202 / 207 >

この作品をシェア

pagetop