【更新】雇われ妻ですが冷徹騎士団長から無自覚に溺愛されています
(だってアナスタシア様って、絶対団長が苦手なタイプの女性よね……)

 ここまで苛烈ではないものの、勢いはフォスター伯爵家の女性陣と通じるものがある。この扉の向こうで、ランドルフは辟易としているであろうことは容易に想像がつく。

 リーゼは意を決して扉の前に立った。
 明らかに激昂している人間と相対するのは勇気がいる。でも、ここで逃げ帰るのはリーゼの本意ではない。
 昨日、妻として彼の役に立ちたいと決意したばかり。アナスタシアを退けることがランドルフのためになるはず。
 その時が早速きたのだと、隙間のあいた応接間の扉をノックした。

 控えめなノックの音は興奮したアナスタシアの声でかき消されたために、中からの返事はない。
 リーゼは覚悟を決めて扉を開けた。
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