【更新】雇われ妻ですが冷徹騎士団長から無自覚に溺愛されています
 たじろぐリーゼとは対照的に、アナスタシアは勝ち誇ったように胸を張り、フンと鼻を鳴らした。

「あなたのような落ちぶれた下級貴族は、フォスター家には相応しくないの。ご自分の立場をもう少しよく理解されたらいかがかしら?」
「……と言われましても、私は既にランドルフ様のご両親にも認めていただいていますし、婚姻の誓約も既に交わしております。アナスタシア様に認めていただけずとも、ランドルフ様と私はれっきとした夫婦なのです」

 内心ヒヤヒヤしながらも、リーゼはキッパリと言い切った。
 理屈が通じない相手と関わったことは仕事で何度もある。こういう場合下手に出るのではなく、堂々としていた方が物事が有利に運んだりするのだ。
 
 そう思って毅然とした態度でいたリーゼだが、残念ながら火に油を注ぐ形になったらしい。いっそう歯を食い締め、アナスタシアは怒りに体を震わせて、リーゼを睨みつけている。
 そしてバンッと勢いよく目の前のテーブルを両手で叩いたかと思うと、アナスタシアは顔を真っ赤にして吠え出した。

「なによ!なによ!!そんなの知らないわよ!!私が認めないって言ったら認めないの!!いいからさっさとランドルフ兄様の元から消え失せなさいよ!!あなたみたいな何の取り柄もない貧相な女なんて、ランドルフ兄様に相応しくないんだから!!」

 地団駄を踏み、アナスタシアはリーゼに早く出ていけとばかりに扉の方を指差した。
 淑女にあるまじき行動の数々に圧倒され、リーゼは目眩を覚える。
< 44 / 170 >

この作品をシェア

pagetop