【更新】雇われ妻ですが冷徹騎士団長から無自覚に溺愛されています
「お前、一体何しに来たんだ?訳のわからないことをほざくくらい暇なら、仕事をさらに追加してやろうか」
「いや!待て待て!これ以上仕事を増やすのはやめろ!俺を過労死させる気か?!」

 ジョシュアが血相を変えて立ち上がった。その必死な様を見て、ランドルフは胸がすく思いがした。
 
 ジョシュア率いる第四騎士団は、警ら隊と共に王都の警護に当たっている。が、それはあくまで表向きの話。
 
 第四騎士団の本務は諜報活動だ。王家や各騎士団からの要請を受けてあらゆる国、組織に潜り込み、裏側から王国の安全保障を支えている。
 その性質ゆえ、他の騎士団より業務量が多いと聞くが、この食えない男がそう簡単にくたばるわけがない。

 大袈裟に喚き立てるジョシュアを、ランドルフは盛大に無視した。
 
「ならさっさと本題を話せ」
「わ、わかったよ……。この前、川に死体が上がっていたって話をしただろ?その身元を調べていたんだが、そいつ、二年前のフィリス殿下の暗殺事件の襲撃犯の一人だったよ」
「なんだと?」

 途端にランドルフの眼光が鋭くなる。ジョシュアの面差しも真剣なものに変わり、団長室の空気が一気にピンと張り詰めた。

「十中八九、アディンセル公爵が手を回したに違いない。襲撃犯の奴らは直接公爵と関わりのない奴らばかりで、恐らく事件の首謀者が誰かも知らされていなかった。だが、どこから情報が漏れるかは分からんからな。念には念を入れて、俺たちと同じようにずっと逃げた襲撃犯の行方を追っていたんだろう。やられたよ……」

 歯噛みするジョシュアを横目に、ランドルフもまた唇を引き結び、考え込むように腕を組んだ。
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