契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
『HOTEL TACHIBANA』には、これまで一度も立ち入ったことはない。
姉がラウンジでバリスタとして働いているけれど、私は直接関係がないし、利用する機会もない。
それ以前に、こんな高級ホテルの敷居をまたぐ身分ではないからだ。
こんな風に仕方ない事情でもない限り訪れることはない。
できれば今だって行きたくないわけで……。
近づく正面エントランス脇には、制服に身を包んだホテルスタッフが待機している。
中に入ろうとしたら、「お客様」と声でもかけて呼び止められるのではないだろうかと、ビクビクしながらエントランスのガラスドアを入っていった。
入ってすぐ正面には、大きな白い噴水が出迎える。
大理石彫刻の立派なビーナスが、大きな水瓶を持っているそこから水が溢れ出ている。
室内とは思えない迫力に一瞬足が止まりそうになったけれど、ここを訪れた目的に周辺をキョロキョロと見渡した。