契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
クリスマスイブの夜は、今にも雪の降ってきそうな冷たい空気に包まれていた。
我が家から『HOTEL TACHIBANA』までは、徒歩で二十分ほど。職場のあるツインタワーからほど近い。
急いでいなければ通勤時のように歩いて向かうけれど、ちょうど大通りに出るとホテル方面に向かう路線バスがやってきたのでそれに乗り込んだ。
バッグの中には、洗面台に置き去りにされていた姉のポーチ。そして、会場の中に入らないといけないかもしれないことを考慮して、渡されていた招待状も一応持参してきた。
中に入らなくても入り口で手渡せたらいいのだけれど、どんな状況になるか予想がつかないから念のためだ。
仕事から帰って部屋着に着替えていたけれど、今日仕事に行っていた格好に着替え直して家を出た。
ホテル最寄りのバス停は、BCストリートのイルミネーションと多くの人で更なる賑わいをみせていた。
BCストリートにはちょうど一週間前から、クリスマスマーケットも開催されていてクリスマスイブの今日は一層盛り上がりをみせている。
温かそうなホットワインを両手に包んでいる人たちが目に映り、ポーチを届け終わったら一杯飲んでいこうかなとふと考えた。
カップルや家族連れ、楽しそうに連れ立って歩く人たちの邪魔にならないよう、バスを降車し足早にホテルを目指す。
大きく開け放たれた門からは、その先に聳えるホテル建物へと向かって対向車二車線の道が続く。
その脇を歩き進みながら、気合いを入れるように冷たい空気を吸い込んで深呼吸をした。