この異世界ではネコが全てを解決するようです 〜ネコの一族になって癒やしの力を振りまいた結果〜

7話 ミケの背中

 時刻は午後十一時を回った。
 窓の向こうに見える山際に、上弦の月が沈みかけている。
 私はその金色から、目の前の金色に視線を移し、ほうとため息を吐いた。

「私はどうして、ミケにおんぶされてるんでしょ……」
「ふらふら歩いていたタマが、ついに柱に向かって明日の天気の話を始めたからだな」
「明日はねー、雨ですって」
「……柱が言っていたのか?」

 やんごとなき飲み会は、つい先ほど解散となった。
 ギックリ腰持ちの国王様は王妃様に手を引かれてよちよち寝所に引っ込み、ロメリアさんはメルさんを引き連れて軍の施設に向かった。
 軍医であるロメリアさんの執務室は、当直もできる仕様になっているらしい。
 私もネコ達を連れ、ミケと一緒に居室に帰ろうとしていた。
 フサフサのしっぽをフリフリしながら前を歩くネコの背中には、五匹の子ネコがしがみついている。

「オポッサムみたい……ミケ、この世界にオポッサムはいますか?」
「さて、聞いたことのない名だ。それは動物か?」
「子供を背中に乗せて活動する動物です。敵に襲われると、死臭まで演出して死んだふりをします」
「いやなやつだな」
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