まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
「やっぱうらまちかぁ。うらまちのこっていってたもんね」

 一瞬のことだったけれど、テティウスの目は見逃さなかった。粗末な身なり、だいぶ冷え込んできているというのに、靴すら履いていない素足。
 人の財布を盗まなければやっていけないのだろう――見て見ぬふりはできなかった。

「……どうするつもり?」

(見てみないとわからないな。スピラー伯爵の失策にするわけにもいかないんだろうし……もう少し大人だったら、皆、僕の話を聞いてくれたんだろうけどさ)

 ナビーシャとの会話に限れば、声に出すよりも脳内で思い浮かべた方がずっと早い。
 けれど、テティウスは気づいていなかった。一人称が「俺」から「僕」に変化していることに。
 前世の優人が、テティウスの身体に馴染んできたということでもあるのだろう、きっと。

「……ここね」

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