まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 セリオンの言葉には、にっこりとする。意外とセリオンは、自分の冒険譚を語るのは上手だった。手に汗を握るというのはこのことを言うのだろう。
 側にいた侍従に書き留めてもらったから、あとで一冊の本にしてもらうつもりだ。兄や姉達と読むのも楽しそうだ。

「皆、気を付けて行ってきてね。北の方は、今、魔物の出現数が増えていると聞くから」
「ゼファルス殿下、感謝する。だが、俺達の仕事は、その魔物を退治することだからな」

 と、今日も神官服に身を包んだザイオス。今回の依頼は、彼が中心となって進めるらしい。

(……まあ、彼らなら大丈夫だとは思うんだけど)

 一回迷宮の奥に飛ばされてしまった時――流星の追跡者達と行動を共にする機会があった。彼らは三級冒険者であり、まだまだ学ばねばならないことも多いらしいが、有能な冒険者達である。
 決して無理はしない。自分達の能力を過剰に評価することもない。
< 205 / 347 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop