まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 前世では一番お兄ちゃんだったから、自分の誕生日の時でさえも末っ子に譲ることが多かった。今回の人生は譲られる立場だ。

「……また、そんな顔をして」

 母がそっとテティウスの頬に手で触れた。
 これが親の勘というものなのだろうか。母は鋭くて、テティウスが前世のことを思い出している時はすぐに気づく。
 テティウスが何を考えているのかまではわかっていないだろうけれど、今回の人生に意識を引き戻してくれるのはたいてい母だ。

「どうしたの?」
「ケーキ、たべりゅ」

 母に心配させてしまったことは、反省しなくては。
 四歳児の身体に成人男性の魂が入っているわけだが、肉体の年齢に心が引きずられることも多い。

「あーんしてやろうか」
「じぶんでできましゅ」

 父がフォークを手ににじりよってくるのは、フォークを持っていない方の手で制した。
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