身代わり婚だったのに、極甘愛で満たされました~虐げられた私が冷徹御曹司の花嫁になるまで~
 嵯峨家の人で唯一結乃に友好的なのが彼だ。
 結乃が嵯峨家に引き取られた高校一年生の時、巧巳は高校三年生。都内屈指の進学校に通う彼は結乃を気遣って『結乃ちゃん、一緒に勉強しよう』と声を掛けてくれた。

 しかし、巧巳と一緒にいると伯母があからさまに不快になり『巧巳の受験勉強の邪魔をするな』と結乃を責めた。

 優しい性格の巧巳は表立って結乃に声を掛けることはなくなったが、離れにいる結乃にこっそりとお菓子の差し入れをしてくれたり、出先でお土産を買ってきてくれた。

 結乃も兄のように彼を慕っていたが、その後すぐ京都の国立大学に進学して家を出てしまったので一緒に暮らしていたのは一年弱。
 しかし、結乃が嵯峨家で孤立していたことを知る巧巳は、結乃が山崎の家に戻った後も気遣い時折会いに来てくれる。
 
 今日も結乃が好きな大阪のカステラをわざわざお土産に持ってきてくれていた。

 育ちの良さが滲み出る容姿は整っていて上品だ。細身の体形で、勉強もスポーツもなんでもこなす真面目な優等生。
 伯母の自慢の息子だ。

「結乃ちゃんが代役になるなんて。驚いたよ」
< 41 / 160 >

この作品をシェア

pagetop