身代わり婚だったのに、極甘愛で満たされました~虐げられた私が冷徹御曹司の花嫁になるまで~
 巧巳は結乃がお金のために代役を受けた経緯を知らないらしい。
 過ぎたことだからわざわざ言わなくていいだろう。

「うん、ほら一応体裁を整えるだけだったみたい。もちろんうまくいかなかったから。私に亜希奈ちゃんの代役なんて無理だったのよ。お相手が立派過ぎちゃって話にならなかった」

 実はお見合いから5日目の今日にいたっても伯母から怒りの電話が来ていなかった。

 もしかしたら伯母は結乃を代役にした時点でこの縁談は諦めていて、断られることも予想していたのかもしれない。

(伯母さん、近々私を呼びつけて、じっくりみっちり嫌味を言うつもりなのかな……怖すぎる)

「大阪から本社に顔を出して父さんに聞いた話だから、母さんには会ってないけど……そうか」
 
 納得したのか巧巳はホッと気が抜けたような顔になる。

「まあ、上手くいかなかったのなら良かった……ってごめん。家の事情で君を巻き込んだのが申し訳なくて」

「巧巳くん、気にしてくれてありがとう」

 その後お互いの近況を軽く話し「来年には本社勤務になりそうだからその時はゆっくり夕食にいこう」と言われ、快諾した結乃は会社にもどるために巧巳と別れた。
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