身代わり婚だったのに、極甘愛で満たされました~虐げられた私が冷徹御曹司の花嫁になるまで~
 しかし、直後古びた自宅がばれている。
 思い起こせば、メイクも服装も、そもそも残業して繁華街を一人あるいて帰ること自体嵯峨家の令嬢として不自然だった。
 
 きっと不審人物として認定されたはずだから、彼から誘われることはないと思っていたのだ。

『もし都合がつくなら昼の12時に自宅まで車で迎えにいくが、どうだろうか』

(いやいや、さすがにまっ昼間にあの家をもう一度見られるわけにはいかないでしょ)

「……あの、出来れば目的地の最寄り駅まで行かせてもらえるとありがたいんですが」

 かくしてお見合いから一週間、再び結乃は耀と会うことになった。

 

 日曜日の昼過ぎ、結乃は吉祥寺駅前で耀を待っていた。
 
 東京都心から少しだけ離れたこの街には大学生の時、駅ビルの催事場の短期のバイトで何度か訪れたことがあったので、懐かしい気持ちになる。

(それにしても、もっとアーバンな場所を指定されるかと思ったんだけどなぁ)

 御曹司がわざわざ食事をしにいく場所と言えば都心ホテルのフレンチレストラン、はたまた高級料亭という勝手なイメージがある。
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