身代わり婚だったのに、極甘愛で満たされました~虐げられた私が冷徹御曹司の花嫁になるまで~
 東京の”住みたい街ランキング”で常に上位に入る吉祥寺はもちろんおしゃれであこがれの街なのだが、セレブで大人な彼と食事といったらなんとなく六本木とか銀座などを想像していた。

 服装も気を使う場所ではないと言われたけれど、一応令嬢設定なので手持ちの服の中でもできるだけ上品に見えるものを選んだ。
 とはいえボートネックの白いブラウスに丈が短めのボルドー色のカーディガンを羽織り、身体に程よく沿う形の黒いロングスカートを合わせたシンプルコーデなのだが。

 少し待っているとこちらに真っすぐ向かって歩いて来る背の高い男性が視界に入ってきた。

(わぁ……遠目でもわかるくらいカッコいい)

 日曜の昼下がり、行き交う人の多い駅前の雑踏の中でも彼の姿は目を引いた。

 長身であるということだけではない。オフホワイトのオックスフォードシャツに黒いスキニーパンツ、深い秋色のブラウンのジャケットを合わせ足元はシンプルなスエード素材のスニーカー。
 カジュアルで若々しく見えるが大人の男性の上品さと落ち着きはそのままだ。

「すまない。待たせた」

「い、いえまだ時間前ですし、私も今来た所です」
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