身代わり婚だったのに、極甘愛で満たされました~虐げられた私が冷徹御曹司の花嫁になるまで~
 冗談交じりに結乃は微笑む。
 物珍しさで、しっかりとデザートまで食べたのでかなりお腹がいっぱいだ。

「……君は、食べることが好きなのか?」

「えっ?」
 隣に視線をやると彼と目が合いドキリとする。彼はずっとこちらを見ていたようだ。

「見合いの時も思ったが、今日もずいぶん美味しそうに食べていた」

「うっ……それは」

 食い意地が張っているとバレて恥ずかしい。しかもお見合いの時から気づかれていたなんて。
 
 でも彼の表情はこちらをバカにするようなものではなかった。ホテルの庭園で自分に向けられた冷たい表情とは全く違う。

 そういえばあの店に入ったあたりから気負わず耀と話ができていることに結乃は初めて気が付いた。

 そもそも結乃は人見知りするタイプではない。しかし耀に対してだけは出会いが出会いだけに苦手意識のようなものを持っていた。それがいつの間にか薄らいでいる。

「はい。食べるのは好きです。それに、うちは”食べ物を大事に”が家訓なんです」
 
 山崎の祖父はいつも『食べ物に大事にして美味しくたべなさい』と言っていた。
 一家はそれを実践し、家族で食卓を囲んでいた。
 その光景を思い出しながら笑って答える。
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