身代わり婚だったのに、極甘愛で満たされました~虐げられた私が冷徹御曹司の花嫁になるまで~
「なるほど、嵯峨家はいい教えを持ってるんだな」

 耀の言葉にハッとする。

「……っ、はい。そう、ですね」
(そっか、家訓っていったら宇賀地さんは嵯峨家の方だと思うよね)

 彼にとって自分は嵯峨家の令嬢だったことを思い出し、緩み切っていた心に急に緊張が走る。

(私、マナーとか大丈夫だったかな。食い意地が張っていると思われた時点でアウトじゃ?)
 そんな気持ちを知ってか知らずか、耀がさらに意外なことを口にした。

「実は、今日俺があの店に行ったのは個人的な興味もあった。料理の参考にしたくて」

「宇賀地さん料理されるんですか?」
 結乃が驚くと耀は「趣味でね」と首肯する。

「家業が食品会社のくせに祖父は『男は厨房に入るな』っていうタイプだから実家にいる時は大っぴらに出来なかったけれど、大学に入って独り暮らしを始めてからは思う存分やっている」
 
 料理の趣味は仕事にも役立つし一石二鳥だという。

「そうなんですか、ちょっと意外でした」
 
 でも、ギャルソンエプロンを付けた耀がテレビに出てくるような広く明るいオープンキッチンでオシャレな料理を作っている所を想像してみるとかなりさまになる。
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