身代わり婚だったのに、極甘愛で満たされました~虐げられた私が冷徹御曹司の花嫁になるまで~
 そして耀が趣味の話を自分にしてくれたことも意外で、少し嬉しい。

「君は料理をするのか?」

「あ……私は」

(亜希奈ちゃんはどうだっけ)

 従姉妹が台所に立っているイメージは無い。でも嵯峨家の令嬢だったら花嫁修業として料理を習うものなのだろうか。逆に人に作らせるのがあたりまえだからする必要がないのだろうか。

「……そうですね。簡単なものなら作れます」

 結乃も料理をするのは嫌いではない。祖母から教わった煮物などの和食を作ることが多く、庶民的なメニューだ。ただその話をするわけにはいかない。

 言葉を選びながらの会話はどうしてもぎこちないものになってしまう。

 すると耀がこちらに訝し気な目線をよこす。

「寒いか?」

 結乃のテンションが急に低くなったことを気にしてくれているのだろう。

「いえ、大丈夫です……」

(なんだか嫌だな。宇賀地さんとこういう会話をするのは)

 今日の彼は本音や気遣いを見せてくれている。それなのに自分はごまかすことばかり。
 そもそも自分が庶民育ちだということを隠してお見合いに臨んだこと自体不誠実だし、罪悪感も身から出た錆なのだが。
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