身代わり婚だったのに、極甘愛で満たされました~虐げられた私が冷徹御曹司の花嫁になるまで~
 耀の声が耳に届き我に返る。結乃は手を引かれてやっと歩き出すことができた。



「清くん、結乃に倒れたって言ったんだって? 大袈裟なんだから」

 祖母が運ばれたのは自宅から少し離れた総合病院だった。
 一通り検査や処置を終えた祖母が病室のベッドで横たわっている。今は痛み止めが効いているようで落ち着いた様子だ。

「背骨が折れちゃってるのよ。大ごとだよ。清さんが見つけてくれなかったらどうなってたか。なんで椅子を踏み台にしちゃったの」

「ちょっと乗るだけだから大丈夫かと思って……」

 祖母は食器棚の上のキッチンペーパーのストックを取ろうとして椅子に乗りバランスを崩し落下。腰を強打した。
 あまりの激痛に動けなくなっていたところをちょうど訪ねてきた清が見つけ、慌てて救急車を呼んでくれた。
 病院で待っていた彼は結乃が入院手続きをする間もずっと祖母に付き添ってくれいていた。

「清さん、本当にありがとうね。迷惑かけてごめんなさい」

 清は小柄で気のいいおじちゃんといった雰囲気の男性だ。亡くなった父とは小学生からの親友だったという。
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