悪女の涙は透明らしい

「一応これでもチカはこの店の従業員なんだよ。見えないけどね。それは僕がチカにあげた合鍵なんだけど、2つしかないからどうしよっか」


「え、従業員!?」


「康兄から誘ってきたのに雇用主が "一応" とか "見えないけど" とか言うなよな。いーよ奈緒が持ってて。バイトの時は奈緒と来るから」


「え、お兄さん?!似てなっ」

「奈緒さん?今そこじゃないよね」


「チカは僕の可愛い弟分だよ。昔から兄弟みたいに世話焼いてたんだけど、フラフラしてたから小遣い稼ぎとして働かせてるんだ」


「言い方・・・・・まぁ働いてるって言っても夕方チョロっと厨房借りに来てお菓子作るぐらいだけど」


「...結構ここ来てるつもりだったけど知らなかった。」


「コイツサボり魔常習犯だからね。ったく、賃金泥棒もいいところだよ」


「ほんとにガキの小遣い程度しかくれない癖によく言うよ。知ってるか?ここの最低賃金驚愕の──アダっ!」


コソッと耳打ちしようと顔を近づけた瞬間爽やかスマイルの康二さんの打撃がチカの後頭部に炸裂した。


・・・・・凄い。明らかに喋るなオーラが康二さんから放出されている。

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