悪女の涙は透明らしい
結局【気侭】の最低賃金額を聞き出せずに店を出た私は、少し前を歩くチカの背中を見ながら帰路についた。

そういえば、2人で帰るのはこれで2度目だっけ。


「お店の合鍵、ほんとに私が持ってて良いの?あんたが困るんじゃ...」

「さっきも言ったろ。俺がバイトの時奈緒と一緒に行けばいいし、お前の方が頻度高いだろ」

「え、やだよ一緒になんて」

「そこはやだじゃないでしょー奈緒さん」


冗談ぽく否定するとチカが棒読みで応える。

不思議と話せば話すほど気が休まるこの男は、本当に何者なんだろうか。


.......と言っても、彼の正体などどうでもいいか。


< 33 / 37 >

この作品をシェア

pagetop