悪女の涙は透明らしい
「で、今日は授業サボったかなんか?」
「え?・・・・・ああ、このジャージ?別に、濡れたから着替えただけ」
暗い歩道橋を歩いて、点々とする電柱の灯りを頼りに道を踏む。
暫く2人だけの会話が静かに夜闇に響く。
「水遊びでもしてたのか?あんまり季節外れな事すると体調崩すぞ」
「..そだね、もうすぐ冬だもんね」
「動物が羨ましいよ。俺寒がりだからずっと春先まで冬眠したい」
当たり障りのない会話をしつつ、やがて公園が見えてくるとチカが足を止めてこちらを振り返る。
「...聞かないつもりだったけど、1つ質問いいか?」
「なに?」
先程とは一変した声のトーンに彼の目を見返すと、暫し躊躇う表情を見せながら彼が口を開く。
「...昨日のこと、聞いてもいいか?」
蠍蛇の男達に襲われたあの一件を、どうやら彼はまだ気にしているみたいだ。