悪女の涙は透明らしい


「で、今日は授業サボったかなんか?」

「え?・・・・・ああ、このジャージ?別に、濡れたから着替えただけ」


暗い歩道橋を歩いて、点々とする電柱の灯りを頼りに道を踏む。

暫く2人だけの会話が静かに夜闇に響く。


「水遊びでもしてたのか?あんまり季節外れな事すると体調崩すぞ」


「..そだね、もうすぐ冬だもんね」


「動物が羨ましいよ。俺寒がりだからずっと春先まで冬眠したい」


当たり障りのない会話をしつつ、やがて公園が見えてくるとチカが足を止めてこちらを振り返る。


「...聞かないつもりだったけど、1つ質問いいか?」


「なに?」


先程とは一変した声のトーンに彼の目を見返すと、暫し躊躇う表情を見せながら彼が口を開く。


「...昨日のこと、聞いてもいいか?」


蠍蛇の男達に襲われたあの一件を、どうやら彼はまだ気にしているみたいだ。

< 34 / 37 >

この作品をシェア

pagetop