恋も仕事も奪われた私ですが、お忍び社長に愛されているようです
小久保とは付き合っていないよ。なずなのことが好きだよ。そういった返事が来るかもしれない。そう思って身構えてみたが、小久保さんの名前を出すと岡島さんは頭をかりかりと掻き「そうだよな、すまない」とあっさり引き下がった。
その態度に胸がさあっと冷たくなる。ああそうか。私を二番手として、お酒に酔った時に都合よく使える相手として扱おうとしただけなんだ。
「これからも仕事ではよろしく頼むよ。なずなのことを信頼している気持ちに変わりはないから」
「はい、これからもよろしくお願いします」
岡島さんのことはもう諦めていた。だけど少しだけ、ほんのわずかに心に残っていた未練も砕け散る。
「どんな企画を考えているんだ?」
「何のことですか?」
「新規事業コンペだよ」
穏やかな口調で上司の笑顔に戻った岡島さんは言った。
「相談に乗るよ。ああもう家に連れてくなんて下心はないよ、少し酔っていたみたいだ。これは純粋に上司として」
軽やかな口調でそう言うと、私の机の上に置いてある企画書をさっと手に取った。
「なるほどねえ」
入社以来、岡島さんにはずっと企画の相談に乗ってもらっている。また上司と部下の関係に戻れるのなら……反射的に私は口を開いた。
「ありきたりなアイデアかもしれませんが、恋活アプリを考えてみようかと。ダイスエンジンは男女のユーザーの比率が同じですし」
「既存の他社アプリとは差別化が出来ているな」
「ありがとうございます」
岡島さんはふと私のデスクに目を向けると「その本は?」と訊ねる。
彼の目線の先に本に気づいて顔が赤くなる。【伝え方が100%!】【プレゼンがうまくいく100の方法】そんなビジネス書を置いていたから。ここ最近そんな本ばかり読んでいる。
「コンペで皆の前で話すのが怖いのか?」
その態度に胸がさあっと冷たくなる。ああそうか。私を二番手として、お酒に酔った時に都合よく使える相手として扱おうとしただけなんだ。
「これからも仕事ではよろしく頼むよ。なずなのことを信頼している気持ちに変わりはないから」
「はい、これからもよろしくお願いします」
岡島さんのことはもう諦めていた。だけど少しだけ、ほんのわずかに心に残っていた未練も砕け散る。
「どんな企画を考えているんだ?」
「何のことですか?」
「新規事業コンペだよ」
穏やかな口調で上司の笑顔に戻った岡島さんは言った。
「相談に乗るよ。ああもう家に連れてくなんて下心はないよ、少し酔っていたみたいだ。これは純粋に上司として」
軽やかな口調でそう言うと、私の机の上に置いてある企画書をさっと手に取った。
「なるほどねえ」
入社以来、岡島さんにはずっと企画の相談に乗ってもらっている。また上司と部下の関係に戻れるのなら……反射的に私は口を開いた。
「ありきたりなアイデアかもしれませんが、恋活アプリを考えてみようかと。ダイスエンジンは男女のユーザーの比率が同じですし」
「既存の他社アプリとは差別化が出来ているな」
「ありがとうございます」
岡島さんはふと私のデスクに目を向けると「その本は?」と訊ねる。
彼の目線の先に本に気づいて顔が赤くなる。【伝え方が100%!】【プレゼンがうまくいく100の方法】そんなビジネス書を置いていたから。ここ最近そんな本ばかり読んでいる。
「コンペで皆の前で話すのが怖いのか?」