恋も仕事も奪われた私ですが、お忍び社長に愛されているようです
「次。C社は誰が担当している?」
「岡島さんですね。――今外出されてますから、お急ぎでしたら私が答えますよ」
「担当でないのにわかるのか?」
「元々は私が企画を考えたものなのでわかると思いますよ」

 パソコンの企画書フォルダを開くと、隣で美山さんも覗き込む。

「この部の企画書は全てここに入っているのか?」
「これは私が立案したものだけです。正式な企画書は共有フォルダに入っていて」
「この数。君が部のほとんどの企画を考えていないか?その割に君の担当が少ない」
 
 じっと見つめられるが、サングラス越しで彼の表情は読めない。
 企画書は私が作ることが多かった。営業が苦手なぶん、得意な企画立案は頑張ろうと張り切っていた。私が失敗してはまずいからと、大型の案件や重要な企業は岡島さんが営業を担当してくれていたし。

「企画は好きなんです。だけど営業は得意ではないので、他のメンバーに助けてもらっています」

 本当は最初から最後まで私が担当できるのが一番いい。だけど岡島さんの言う「適材適所」の意味もわかる。最近は私の担当もどんどん減り全て小久保さんの物になっているけど。

 「なるほど…わかった」
 彼はそれ以上は言及せずに、話を進めていく。
 他の案件も同様にスムーズに進んでいった。見た目は少し怖く感じたけど、とても優秀な人が異動してきてくれたみたいだ。
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