好きが故に欺いて〜罠に嵌められた私を待ち受ける甘い愛〜
その後、企画会議は保留となった。
私に向けて苦言を言っていた同僚たちは、申し訳なさげに謝ってくれた。
佐伯さんが固めた嘘の数々は、この一連の騒動のおかげで全て晴れることとなった。
先に同僚たちは会議室から退出し、当事者の私と佐伯さん。そして千歳さんが会議室に残った。
他の同僚たちがいなくなった途端、佐伯さんは立ちあがり千歳さんに詰め寄る。
「どういうことですか⁉︎ 音声流したの千歳さんですか?」
興奮気味に詰め寄る。
そんな彼女に大きなため息をわざとらしく吐き捨てた。
「お前、まだ反省してないのかよ。事実を公にしただけだろ」
「千歳さんっ! 私のこと好きなんですよね? なんのためにこんなこと……!」
唐突に感じる質問だが、佐伯さんは至って真剣に聞いてるようだった。唇を震わせて千歳さんを見つめる。
「好きだなんて、言った覚えないけど?」
「だって、何回もご飯に誘ってくれたじゃん!」
「あー。それはこれを忍ばせるためと、回収するため」
指先に持った黒くて小さな機械を揺らしてみせた。
それは、カバンにこっそり忍ばせたら気づけないくらいの小さな盗聴器だった。