不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄されましたが、私のことは可哀想だと思われなかったのですか?
「ふふ、いい気味でしたね。あのイルリア・ルヴィードの顔……今思い出しても、滑稽です」
「まあ、過ぎたることをしたのですから、その報いを受けたのでしょう」
「でもナルネア様、あれで解放してもいいんですか? もう少し遊んでもいいのに」

 ナルネア・オルガー侯爵令嬢は、満足そうな顔をしながら廊下を歩いていた。
 彼女にとって、イルリア・ルヴィード子爵令嬢が教室で見せた顔は楽しいものだった。ナルネアの目には、マグナードが離れて行く様にイルリアが絶望していたように映っていたのだ。

 実際の所、イルリアが考えていたのは別のことである。
 しかし、それを知らずにナルネアは満足していた。自分の望みはなんでも叶う。今のナルネアは、そんなことを思っていた。

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