不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄されましたが、私のことは可哀想だと思われなかったのですか?
「まあ、確かにそれも面白いかもしれませんね……」
「ナルネア様、どうされたのですか?」
「い、いえ……」

 しかしそこで、ナルネアは足を止めることになった。
 止めざるを得なかったのだ。彼女は蛇に睨まれた蛙のように震えていた。

「あなたの行動は目に余る。これ以上、余計なことをするというなら、こちらも容赦せざるを得ません」

 ナルネアは、自分の後方から聞こえてきた声に振り向こうとした。
 だが彼女にはそれができない。背後から感じる冷たい視線に、動けなかったのだ。

「これは警告です。あなたがこれ以上何もしないというなら、こちらも何もするつもりはありません。あなたが不当な理由で、他者を害する動きを見せた時点で、こちらも動きます」

 言葉を受けた次の瞬間、ナルネアの体からは力が抜けた。
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