不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄されましたが、私のことは可哀想だと思われなかったのですか?
 ブライトは、マグナードの性質を思い出していた。
 あくまでも平和的な解決を望む彼だが、それが叶わなかった場合は全力を持って相手を叩き潰す。それがマグナードという男なのだ。

 それは彼の優しさがそうさせているという面はある。ことが拗れて実態が悪化するくらいなら、すぐに解決できる程の権力をぶつけようとするのだ。
 その躊躇いのなさこそが、ブライトがマグナードを怖いと思う一番の理由である。

「まあ、狙っている張本人に警告されたのだから、いくらナルネア嬢でも少しは躊躇いを覚えるものか……」
「……心配なのは、彼女が僕を認識しているのか怪しいという所なのですが」
「……なんだって?」

 マグナードの言葉に、ブライトは面食らっていた。
 いくらなんでも、ナルネアがマグナードを認識していないことなんてあり得ない。ブライトは、そう思っているのだ。
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