【コミカライズ】断罪不可避の悪役令嬢、純愛騎士の腕の中に墜つ。
「その……言いづらいけど、私たちの婚約は、破棄されることになると思うの。私は正直、彼女をあまり良く思ってなくて……周囲に誤解されることも多くて」
そうなの。ヒロインの彼女に嫌がらせをしようなんて、全く思って居ないんだけど、結果的になんだかそんな風になってしまうのよ……不思議なことに……本当に不思議だけど。
「それは! ティルダ様がご不快になられるお気持ちは、誰しも理解出来ます。将来結婚する婚約者に横恋慕されるのです。苛立つ気持ちは、結婚する相手を好ましく思えばこそ……それも、ティルダ様を二人の幸せのために利用されてしまうなど……絶対に許されることではありません」
ゴートンは優しく誠実で、騎士らしい騎士のようだ。
婚約者アーサーは、本当に驚くほど美形だけど、私に優しくないという時点で恋愛対象にはならなかった。
目の前に居るゴートンは好ましいけど……でも。
「ありがとう。ゴートン様。けれど、良いのよ。二人が幸せであれば良いと思うわ」
これは、本当にそう思って居る。けれど、それは絶対に通じない。
そんな理不尽な世界で三年も過ごして居た私には、言葉を意味通り聞いてくれるというだけで十分だし、無関係の人とは言え、ゴートンがこうして言ってくれることが、すごく有り難かった。