【コミカライズ】断罪不可避の悪役令嬢、純愛騎士の腕の中に墜つ。

「いけません……陛下に伝えます。ティルダ様の現状と、そして、僕の気持ちを」

 ゴートンの気持ち……? こちらを見る彼の目は、熱っぽくて甘い。もしかして、私に好意を感じてくれているという意味かしら?

 悪役令嬢ティルダの容姿は乙女ゲームのメインキャラらしく、美しく文句の付けようがない。

 気が強く見られそうな猫っぽいつり目だって、鏡を見た私はとても可愛いと思ってる。

 ティルダがこういう気の強そうな外見とは裏腹な健気なことを言い出したのなら、そんなギャップを魅力に思ったゴートンだって恋に落ちても仕方ないのかもしれない。

 ゴートンは私と結ばれたいと、そう思ってくれた?

「……そうなったら。良いのに」

 心で思っていた言葉が思わずするりと口からこぼれて、私は口を押さえた……いけない。私は今アーサーという婚約者も居るのに……彼だって同じことをしているからって、あまり、良くないわよね。

 ゲーム進行への強制力は、本当に強すぎて、何度も何度も逆らおうとしても何をしても無駄だった。

 だから……ゴートンが陛下に言ってくれても、きっと……。

「え?」

「ごめんなさい。私は大丈夫です……関われば、ゴートン様が罰せられてしまうかもしれないから、それはしないで。お願いします。私と関わると、あまり……良くないかもしれないから……」

 これは、そうだと言い切れる。なんとなくふわっとした危機感でもなく、はっきりとした確たる理由があるから。
< 11 / 19 >

この作品をシェア

pagetop