【コミカライズ】断罪不可避の悪役令嬢、純愛騎士の腕の中に墜つ。
「ありがとうございます。光栄です……ティルダ様は、婚約者の王太子殿下とは、あまり上手くいっていないのですか?」
「ええ。アーサー様は、可愛い男爵令嬢に恋をして、彼女に夢中なようなの。けれど、私よりも彼女の方が可愛いし、仕方な……」
ヒロインは女の私から見ても、どこからどう見ても、可愛いという奇跡のビジュアルだ。乙女ゲームでイケメンヒーローが入れ食いになってしまっても、何の不思議もない。
「そんなことは、絶対にありません!」
卑屈にも聞こえそうな私の言葉を遮って、それを否定してくれたゴートンに言葉に苦笑してしまった。
ただそれだけなのに、彼の持つ誠実さや優しさが垣間見えて、なんだか嬉しくなった。
そう。転生してから三年、初めてとも言えるくらいにそのままの言葉が通じて、私はとても嬉しくなった。
「ありがとうございます。リッター様は、優しいんですね」
「ティルダ様。僕のことはどうか、ゴートンと……そうですね。殿下との婚約は、このままであれば解消されるんですか? 件の彼女と結婚されるにしても、王家に仕える臣下として現在の婚約者であるティルダ様には誠意ある行動を取っていただきたいと思います」
ゴートン……何なの。こんな出鱈目とも言える乙女ゲームの世界で、すごくまともな人なんだわ……ゲーム展開に必要な会話しかしない周囲より、彼に好感を持ってしまう。