【コミカライズ】断罪不可避の悪役令嬢、純愛騎士の腕の中に墜つ。

 ティルダは彼に恋をして嫉妬に狂う予定だったけど、現代の記憶を持つ私が転生して、そうではなくなってしまった。

 少なくとも彼女の中身の私は、メインヒーローアーサーに恋はしていない。

「……アーサー王太子殿下のなさりようは、僕もあまり良い行為だとは思えません。親に決められたとは言え、婚約者が居るのなら、その方を最優先にするべきだと思います」

 ゴートンには何故か、悪役令嬢であるはずの私の言葉は、他の人のように曲解されてしまわないようだ……おかしいわね。

 彼はゲームの中では、登場しなかったからかしら? ……それとも、この会話はゲーム進行には関係ないから?

「ええ。けれど、仕方ないことです。殿下があの女性をお好きになられたのなら、私は応援するつもりです。私はそれこそが幼い頃から婚約をしていた彼を想うということだと思って居ます。恋をしてはいませんが、大事な方なので」

 いつもこういう健気な台詞を言い慣れて、かつそれを、悪役令嬢として意地悪に置き換えられるということを繰り返して来た。

 今回のことも、きっとそうだろうと思いつつゴートンを見ると、彼は口に片手を当てて、目をきらきらさせて感動しているようだった。

「なんと……素晴らしい。なんて、素敵な女性なんだ。ティルダ様……もし、よろしければそちらに行っても?」

 ……え?
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