エリート消防士は揺るがぬ熱情で一途愛を貫く~3か月限定の妻なのに愛し囲われました~
 ふいに彼のぬくもりが離れる。かと思えば、今度は綺麗な指先が美月の顎を持ちあげた。まっすぐに美月を見つめる瞳のなかで、彼の情熱が揺らめいていた。

「美月」

 スローモーションみたいにゆっくりと、彼の綺麗な顔が近づいてくる。

(私たちの関係は偽り。こんなの、おかしいのに)

 だけどそうするのが当然のように、ふたりの唇はしっかりと重なった。ふにっと柔らかな晴馬の唇は蜜のように甘くて……離れがたいと思わされてしまう。

 酸素を求めてかすかに開いた隙間から、自分よりずっと厚みのある男性の舌がねじ込まれる。絡まって、きつく吸われて……美月の背筋はぞくりと震えた。

「ふっ、ん」
「そんなかわいい声、反則だろ」

 低くささやく声音は色っぽく、晴馬のほうが反則だと美月は思う。互いが互いを欲しがって、キスはどんどん深くなっていく。

(こんなキス、初めてだ)

 自分のほうから、積極的に求めたことなんかこれまでなかった。晴馬とのキスは特別だった。

 部屋に響くキスの音色。それをかき消す大きな音が突然鳴り響いた。晴馬のスマホの着信音だ。ふたりともビクリと肩を揺らして、我に返る。

「――ごめんっ」

 バッと晴馬が顔を背ける。後悔がにじむようなその表情に、美月の胸はズキンと鋭い痛みを覚えた。

「あ、電話……気にせず出て」
「あぁ、隊からの連絡かも。悪い」
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