エリート消防士は揺るがぬ熱情で一途愛を貫く~3か月限定の妻なのに愛し囲われました~
 彼はリビングテーブルの上に置いてあったスマホをつかみ、美月から離れた。

 本人の想像どおり、上長からの連絡だったようだ。漏れ聞こえる会話の内容からそれは理解できた。電話をしている彼の背中を、美月はすがるような思いで見つめる。

(晴馬。さっきの『ごめん』は……どういう意味?)

 急にキスをしてごめん。それだけのニュアンスではなかった気がする。

(悔いているような顔だった)

 不安がじわじわと忍び寄る。

「悪かったな。上長が容体を心配して連絡をくれた」

 電話を終えた彼がこちらに戻ってくる。

「ううん、気にしないで」

 どうしても晴馬の顔を直視できなくて、美月は視線を下に向ける。そこに、彼の声が落ちてきた。

「さっきの、本当にごめん。――忘れて」

 頭から冷水をかけられたような衝撃を受けた。

(忘れる? 晴馬には、忘れたいことだったの?)

 互いに求め合っていた。きっと同じ気持ち……そう感じたのは、自分だけだったのか。あまりにもみじめで、泣きそうになってしまった。なんとかごまかそうと、美月は無理しておどけた声を出す。

「あはは。夫婦のふりなんかしていたから……お互い、空気に流されちゃったね。さらっと忘れちゃおう」

 気にしていないふり、なんでもない顔。だけど、そんなのは表面だけで。本当は願っていた。

(お願い、晴馬。違うって……言ってよ)
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