エリート消防士は揺るがぬ熱情で一途愛を貫く~3か月限定の妻なのに愛し囲われました~
 その証拠に、善次郎はそれ以上の追及はしてこなかった。

 北原の屋敷を出たあとは、晴馬が洗剤やシャンプーなどの日用品を買いたいと言うので横浜駅のほうに寄った。手早く買いものを済ませて、駅ビルを出ようとしたふたりの背中に「北原!」と声がかかる。

 ふたりが振り向くと、大柄な男性が足を速めてこちらに向かってきた。

 先日、晴馬が火傷を負ったときに付き添ってくれた伊沢だ。一緒にいるショートヘアの女性は彼の恋人か、それとも妻だろうか。

「伊沢さん! 先日は面倒をおかけしてすみませんでした」
「お互いさまだろ。水くさいこと言うなよ」

 それから、晴馬は美月に女性を紹介してくれた。

「伊沢さんはこの前紹介したよな。こちらは彼の奥さんで、優紀(ゆうき)さん。彼女も消防士なんだ。俺は新人時代に同じ署で、すごく世話になった」

 女性消防士の数は最近増加傾向にあると、前に晴馬が教えてくれた。彼女はそのひとりということだろう。

「はじめまして、優紀です。今は通信指令室に勤務してるのよ」

 ハキハキと話す、感じのいい女性だ。

「消防の通信指令室は、百十九番通報を受けるのが仕事なの。だから私、いつもの癖で少し早口だと思うけど……ごめんね!」
「いえ、そんなことはありません」
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