エリート消防士は揺るがぬ熱情で一途愛を貫く~3か月限定の妻なのに愛し囲われました~
 ふたりはデート中で、今から帰るところだったようだ。デートの邪魔をしちゃ悪いなと思ったのだけれど、晴馬と伊沢はなにやら仕事の話を始めてしまった。

「長くなりそうだから、あっちで待っていましょうか」

 ふたりを横目に、優紀は呆れたように笑う。駅ビルの出入口に設置されていたベンチに彼女と一緒に腰かけた。

「北原くんの怪我はどう? かなり大変な現場だったとは聞いたけど」
「はい。もしかしたら火傷の痕が残るかも……とは言っていましたが、身体を動かすのに支障はないみたいです」

 火傷は広範囲だったが深度はさほどでもなかったようで、痛みもだいぶマシになってきているらしい。

「そう、よかった」

 優紀はホッと息をつく。それから、気遣うような表情で美月を見る。

「彼らはさ『怪我はレスキュー隊員の勲章みたいなもんだ』ってすぐにかっこつけるけど、ちょっとは待つほうの身にもなってほしいわよね。――心配したでしょう?」

 伊沢からの電話を受けたときのことを思い出す。本当に、全身から血の気が引いた。

「はい。あらためて、危険な仕事なんだなと実感しました」
「私は自分も消防士だからある程度の覚悟があったけど、レスキュー隊員の妻になるって結構大変なのよ」
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