エリート消防士は揺るがぬ熱情で一途愛を貫く~3か月限定の妻なのに愛し囲われました~
 いつか伝えたいと思っていたその言葉も、結局言えずじまいで。

 彼女の母を助けられなかった無力さ、カナダへ発ってしまう美月に声をかけられなかった臆病な心、手紙や電話で連絡を取る素直さを持てなかったこと。美月に関する記憶は後悔ばかりだ。

 強く、優しく、素直な大人になろうと思った。もう、あんな後悔は二度としたくないから。

(もし美月が、今の俺を見たら……ちょっとはいい男になったと思ってくれるかな)

 大人になった彼女を想像してみるけれど、あまりうまくいかない。心のどこかで、再会なんてありえないと思っていたからかもしれない。

 けれど、奇跡はまさにこの夜に起きた。二十年ぶりに美月と再会したのだ。

「想像よりかっこよくなってて、ちょっと驚いたよ」

 晴馬の作ったオムライスを食べながら彼女はいたずらっぽく笑った。

 美月はきっと、社交辞令のつもりで言ったのだろう。だけど、晴馬にはなによりも嬉しいプレセントだった。

(叶わない願いだと思っていたのに……)

 連絡先を聞いて、デートに誘った理由は純粋な懐かしさと、元気がなさそうな彼女の様子が気にかかったからだ。火事で母親を亡くしている美月にとって、ボヤ程度とはいえ火災に巻き込まれたのはショックだっただろう。でも、それだけではないように思えた。

 美月は昔から、我慢強くて意地っ張り。弱音を吐いたり、人に甘えたりするのは苦手だった。
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