エリート消防士は揺るがぬ熱情で一途愛を貫く~3か月限定の妻なのに愛し囲われました~
(そう、心配だからだ。決して下心じゃ……)

 そんなふうに自分に言い訳をする程度には下心もあったのだろう。

 美月との再会からちょうど一週間。

 晴馬は親族の会合に参加するため、お台場にある帝都グランデホテルを訪れていた。そこで伯父から、予想していたとおりの厄介な話が持ちあがる。彼を通じての、祖父からの結婚圧力だ。

 バンケットルームの入っているフロアのロビー。伯父の背中を見送ってから、晴馬は兄夫妻と立ち話をする。

「もう結婚相手は決まっている、ってことにするのはどう?」

 そんな解決策を提示してくれたのは兄の佑馬だ。顔立ちは晴馬とよく似ているけれど、彼のほうが柔らかで優雅な雰囲気を持っている。

「いや。このタイミングでそんなこと言っても、嘘だとバレバレだろう?」

 おそらく佑馬も本気ではなかったし、晴馬もくだらない冗談だと笑って流す。
 だが――。

「実際に女性を紹介しちゃえばいいんじゃない? 事情を説明して、妻のふりをしてもらうの!」

 佑馬の妻である(なぎさ)のその発言に、晴馬も興味を引かれた。そこまですれば、あの祖父も納得するかもしれないと思ったのだ。

(仮に嘘がバレたとしても、そこまでするほど縁談を嫌がっていることは伝わりそうだしな)

 悪くない気がして、晴馬は佑馬と渚に相談しながら本気で作戦を練りはじめた。

「もっとも重要なのは、妻役を誰に頼むかだよな」
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