エリート消防士は揺るがぬ熱情で一途愛を貫く~3か月限定の妻なのに愛し囲われました~
『運命の相手に出会えば、頭で考えていることなんて全部吹き飛ぶから。なにがなんでも、自分が幸せにしたいって思うはず』

 その言葉どおり、なにも考えられなくなって、気がついたら美月のしなやかな身体を自身の胸に抱き寄せていた。

 柔らかく、温かで……理性を溶かす甘い香りがする。

(いい大人なのに、なにをこんなにドキドキしてるんだろうか)

 自分にツッコミを入れたくなるほど、晴馬の心臓は高鳴っていて美月にも聞こえているんじゃないかとヒヤヒヤする。

(――美月が好きだ。それ以外、なにも考えられないし考えたくない)

 善次郎も言っていたとおり、北原家の男はよく言えば一途、悪く言えば執念深い。結局、晴馬は初恋を忘れられずにいたのだ。いつもどこかで、美月の影を探していた。

「美月」

 彼女の細い顎がゆっくりと上向く。澄んだ瞳のなかには自分だけが映っていて……。

(美月のぜんぶを、俺だけのものにしたい)

 その欲望は一気に膨れあがり、晴馬を突き動かした。拒む隙を与えない速度で、唇を奪う。優しいぬくもり、ぎこちなく応えてくれる舌先、鼻から抜ける色っぽい吐息。美月の動作のすべてが晴馬に火をつけ、昂らせる。背中の怪我のことも、すっかり頭から抜け落ちていた。

 好きだと告げて、このまま抱いてしまいたい。そう思った瞬間、スマホから着信音が流れ出す。まるで、のぼせあがっている晴馬に冷や水をかけるかのように。
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