エリート消防士は揺るがぬ熱情で一途愛を貫く~3か月限定の妻なのに愛し囲われました~
 ふたり揃ってハッと我に返る。先ほどまでの甘い空気はすっかり消え失せてしまった。

 美月に促されて、晴馬はかかってきた電話に応答する。相手は上長で、会話をしているうちに浮かれきっていた頭も冷えていった。

(なにをしているんだ? 俺は……)

 勢いだけで手を出すようなマネはしたくない、そう思っていたはずだったのに。簡単に揺らいでしまった自分が、恥ずかしくなる。
 美月の気持ちだって確かめていない。落ち着いて、仕切り直したい。

「さっきの、本当にごめん。――忘れて」

 晴馬自身、まだ動揺していて言葉を選ぶ余裕はなかった。台詞を間違えたかもしれない、そう思ったのは美月の瞳が悲しそうに揺れたからだ。

(傷つけた?)

 そんな意図はなかった。むしろ、絶対に傷つけたくないから慎重になっただけだ。それを伝えたいと思うものの、どう言葉にすべきなのか迷ってしまう。

 正直な気持ちを伝えたら、それはもう告白になる。けれど晴馬は……まだ覚悟が決まっていなかった。こんな悩みは告白してOKをもらえてから、考えればいいのかもしれない。自分は少し先走りすぎなのだろう。だけど、どうしても考えてしまう。

 もし、美月も同じ気持ちでいてくれたら、自分たちの関係は偽りではなくなる。本物になった、その先……。

(俺はちゃんと、美月を幸せにできるのか?)
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