エリート消防士は揺るがぬ熱情で一途愛を貫く~3か月限定の妻なのに愛し囲われました~
 隙あらば筋トレに誘ってくる彼に晴馬は顔をしかめる。無計画なトレーニングで増量しすぎるのも、レスキュー隊員としてはあまりよろしくない。

「いや、伊沢さんはちょっと筋トレを過信しすぎですよ」
「過信じゃないぞ。筋肉はどんなときも俺の味方だ!」

 レスキュー隊員と夫の両立には、このメンタルが大事なのかもしれない。

(悔しいけど……本当にかっこいいな、この人は)

 ウキウキでトレーニング室に向かおうとする彼の背中に、晴馬は目を細めた。

 美月に伝えるべき言葉がやっと決まった。今夜こそ、伝えよう。

 そう決意した瞬間だった。晴馬のいたロッカールームに同僚が飛び込んできた。

「伊沢、北原! 出動だ、すぐに準備してくれ」

 彼の切羽詰まった様子、非番である伊沢と自分にも声がかかったことから、非常事態が起きたのだと察せられた。だが出動準備をしながら聞いた事の次第は想像以上で、晴馬は目を白黒させた。

「高層ビルの上層階で爆発事故?」

 もちろん詳細はまだ判明していないが、爆弾のようなものが原因と思われる火災が発生したらしい。

「現場は?」

 そう問いかけたのは伊沢だ。

「――六本木のパールトンホテルだ!」

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