エリート消防士は揺るがぬ熱情で一途愛を貫く~3か月限定の妻なのに愛し囲われました~
 爆破予告のメールには、パールトンホテルに宿泊できる富裕層への恨み節がつづられていたので、最近増えてきている社会に不満を抱く人間のテロ行為ではないかと警察は考えているようだ。

「爆弾自体は、少し知識のある人間なら作れるようなものだった。だから犯罪組織が関与している可能性は低いと見られているみたいだな」
「個人で作れる爆弾でも、あんな大惨事を招くんだね」

 パールトンホテルはスプリンクラ―や防火扉など、消防設備は最新式のものを備えていたのに。それでもあんな状況になるなんて、思い出すだけで身震いしてしまう。

「ガソリン系の爆弾は消火が困難だから。爆発したフロアに人がいなかったことは、不幸中の幸いだったな」
「晴馬の仕事は……今日みたいな場所に、日々向かうことなんだよね」

 頭では理解していたつもりだけど、その恐ろしさと過酷さをあらためて実感する思いだった。美月は顔をあげ、彼を見る。

「晴馬。私、二十年前のあの言葉をやっと心から反省できた。本当にごめんなさい」

 あの日の美月の命は、消防士たちが自分の命を懸けて助けてくれたものだった。それを捨てるような台詞は決して口にしてはいけなかった。

「あの日も、今日も、私の命を守ってくれて本当にありがとう」

 晴馬の目が優しい弧を描く。

「俺たちの隊、いやどこの隊も同じかな? 合言葉があってさ、『全員で必ず帰る』ってやつなんだけど」
< 155 / 180 >

この作品をシェア

pagetop