エリート消防士は揺るがぬ熱情で一途愛を貫く~3か月限定の妻なのに愛し囲われました~
「俺が結婚に前向きになれなかったのは、それが理由。大切な人を悲しませるかもしれないこと。逆に大切な人の存在によって、自分のレスキュー隊員としての覚悟が揺らぐんじゃないかとも思って。どっちも怖かった」

(晴馬の独身主義には、そんな理由が隠されていたのね)

 想像とはまったく違ったけれど、聞けばすごく彼らしい理由だなと納得できた。真面目で優しい晴馬が考えそうなことだ。

 彼はそこで顔をあげ、美月を見た。しっかりと目を合わせて口を開く。

「この前、美月にキスをしたのは……雰囲気に流されたわけじゃないし、決して軽い気持ちなんかじゃなかった。けど……あのときはまだ、本当に美月を幸せにできるのか、自信と覚悟が足りていなかった」

 火事で母親を亡くしている美月の隣に、消防士である自分がふさわしいのか。そんな迷いを消せなかったと彼は教えてくれた。

(私を思って、悩んでくれていたんだ)

 晴馬を悩ませてしまったのは、きっと美月の弱さのせいでもある。だけど――。

「私ね、今日は炎を見てもパニックになったりしなかったよ。パールトンの従業員としての責任感ももちろんあったけど、一番は晴馬たちの存在を知ったからだと思う。レスキュー隊員がきっと来てくれると信じられたから」

 トラウマを乗りこえて少し成長できた気がするよと、彼に伝えた。
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