エリート消防士は揺るがぬ熱情で一途愛を貫く~3か月限定の妻なのに愛し囲われました~
 そんな夫妻には息子がふたり。中学にあがったばかりの長男、佑馬と……。

「おい、美月っ。俺のあとをついてくるなって何度言えばわかるんだよ。クラスのやつにからかわれるだろ」

 美月の行く手を阻むように、腰に手を当て仁王立ちしているのが次男坊の晴馬だ。

「目的地が同じなんだから仕方ないでしょ。嫌なら晴馬がゆっくり帰ればいいじゃない」
「俺は早く帰りたいんだよ」
「それは私も同じ!」

 互いにムッと顔をしかめて、にらみ合う。

「今日の算数のテスト、俺のほうが十点も上だった」

 ふふんと鼻を高くする彼に、美月はグッと声を詰まらせる。

(悔しい。今日こそは勝てる自信があったのに……)

 けれど蓋を開けてみれば、晴馬のほうが高得点。いつもそうだ。勉強も運動も、誰も彼にはかなわない。

(だけど性格は六十点ってとこよね!)

 美月も負けじと反撃を開始する。

「そもそも、男子のくだらない冗談なんて無視しておけばいいのに。間に受けるなんて子どもね、晴馬は」
「う、うるさい!」

 彼と美月は学校でも放課後も、いつもこの調子。

(まぁでも……)

「トロトロ歩いてると邪魔なんだよ。ほら、貸せ」

 晴馬は美月の持っていた重いホースリールの持ち手に手をかける。どうやら半分持ってくれるらしい。

(悪いやつじゃないのは知ってる。七十点にしてあげてもいいかも)

 美月はクスリと口元を緩めた。
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