エリート消防士は揺るがぬ熱情で一途愛を貫く~3か月限定の妻なのに愛し囲われました~
「いらっしゃいませ!」
「お招きありがとう、美月ちゃん。おっ、なんだかいい匂いがしているのぅ」

 遊園地の翌日、夕方頃に善次郎がマンションにやってきた。キッチンから晴馬も顔を出す。

「ふたりで張りきって料理をしてたんだよ。期待してて」
「ほ~。それは楽しみじゃ」

 完璧に準備をしたのは料理だけではない。玄関には昨日の遊園地で撮ったツーショットを飾ったし、洗面台の歯ブラシや食器棚のペアマグカップなど、結婚を控えたカップルらしく見えるよう随所に気を配っている。

 先日の反省をいかして、互いの食事の好き嫌いも確認した。付き合いはじめたなれそめ、結婚式に対する希望、聞かれそうなことはすべて打合せ済み。

 善次郎が「おなかを空かせてきた」と言うので、少し早いけれどディナーの準備をはじめる。

 ローストビーフにキッシュ、難しいメニューは晴馬がこしらえてくれた。美月は野菜たっぷりのミネストローネとオムライスの担当だ。

「でも晴馬、本当にオムライスでよかったの?」

 キッチンで肩を並べる彼にコソコソとささやく。
 晴馬の作った前菜盛り合わせはパーティー仕様で豪華なのに、メインのオムライスだけ少し子どもっぽくないだろうか?

「あぁ、オムライスはじいさんのリクエストだから。大好物なんだって」
「私と一緒だ!」
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