環境が最悪なので推し活してたら推しから溺愛されることになりました
都心なのもあり、ジュエリーショップは思い付くだけでもいくつかある。
「んー色が何か違う。これ美知華さんに合わない。もうちょっと石が小さめがいい」
店員が出してくれた数々のバンクルを、次から次へとアクアはぶった切っていく。
アクアは配信でもこうだった。
好きなものは好き、嫌いなものは嫌い……と、変に気を使うわけでもなくハッキリと意思表示する。
かといって相手を傷付けないよう注意は払っている、そのバランス感覚が魅力的だった。
飾ったり媚びたりはせず、自分の感性にアクアは正直だ。
だからアクアに好きだと言われ、美知華は素直に信じることができた。
(アクアくんのこういうところが好きなんだよね。でも買い物する時は大変そう……)
後ろでフフフと笑いながら見守っていた美知華は、不意に視界の端に入ったバンクルに目がいった。
ショーケースの中にあるのは、小さな石の付いたシンプルかつ洗練されたバンクルだった。
「美知華さん、それ気になる?」
傍にいたアクアは、すぐに美知華の様子に気付いて声をかける。
「うん……ちょっと付けてみてもいいですか?」
「もちろんです」
それなりの時間付き合ってくれているというのに、店員は嫌な顔一つせず、そのバンクルを丁寧な所作で取り出した。
それを美知華は腕に付けてみる。
基本的に装飾品を付ける習慣の無い美知華だが、なんだかこれは凄く気に入ってしまった。
「よし、それにしよう」
「えっ」
まだ何も言っていないのに、アクアは即決したらしく、すでに店員さんにこのバンクルをペアで買う旨を伝えている。
しかもお会計まで済まそうとしていた。
「だっ……ダメだよ! 支払いは私もするから!」
「えーやだよ。俺がお揃いのもん欲しいって話だったんだから」
「でもそんな……」
「じゃあ代わりのもの後でもらうから、支払いは任せてよ」
「代わりのもの……?」
それが何なのかまるで見当がつかないでいる内に、アクアはスマートに支払いを済ませてしまう。
こうして美知華は、アクアとお揃いのバンクルを手に入れたのだった。